こんちわ。おじいちゃん(@podogchan)です。
今日は、ポッドキャスト界に飛び込んできたビッグニュースをご紹介。
そのニュースとは…
音楽ストリーミングサービス大手のSpotifyが、2019年2月6日(米現地時間)同社の四半期決算発表と同時に、大手ポッドキャスト制作会社の米・Gimletと、ポッドキャスト制作・配信アプリを手がける米・Ancohorの買収を発表したというもの。
Spotify to acquire Gimlet Media Inc. and Anchor. Read the press release here to learn more about how we’re accelerating growth in podcasting: https://t.co/Lif57Bkrz9
— Spotify News (@SpotifyNews) 2019年2月6日
会社紹介
まずは、それぞれがどんな会社か見てみよう。
Gimlet
Gimlet Media(ギムレット・メディア)
- URL:
https://www.gimletmedia.com/ - 設立:2014年
- 本社:ニューヨーク(米)
- 創設者:
Alex Blumberg(Co-founder and CEO)
Matt Lieber(Co-founder and President) - 事業内容:
narrative(ナラティブ)Podcastの制作。「The Cut」や「StartUp」などの人気番組多数。 - 聴取者規模:
月間700万回再生
190ヶ国で利用される
「narrative(ナラティブ)ってなんやねん?」という声が聞こえてきそう。
「ナラティブ」とは「語ること」を意味しますが、ストーリーテリングのように出来上がった物語を語るのではなく、より自由に一人ひとりが主体となって語るイメージを持つ言葉です。
via: https://signal.tokyo/howto/1539
台本なしに自由に喋る感じの、正に日本の素人コメディーポッドキャストみたいな感じであろうか。
Big news: we are very excited to be joining @Spotify! https://t.co/L3DOTQtS17
— Gimlet (@Gimletmedia) 2019年2月6日
Anchor
Anchor FM Inc. (アンカー)
- URL:
https://anchor.fm/ - 設立:2015年
- 本社:ニューヨーク(米)
- 創設者:
Michael Mignano(Co-Founder and CEO)
Nir Zicherman(Co-Founder and CTO) - 事業内容:
ポッドキャスト作成・配信用アプリケーションの制作
Podcast番組の録音、編集、公開、配信の全てをたった一つで可能にさたスマートフォンアプリ。
作成ツールとして使っている人もいるのでは?
アナリティクスやマネタイズにも注力しており、注目していた人も多いはず。
Anchor is joining @spotify.
Our co-founders @mignano & @NirZicherman share more details about what this means and why it is great news for podcasters everywhere. https://t.co/VDrwHIIEGW
— Anchor (@anchor) 2019年2月6日
Spotify
Spotify Technology S.A. (スポティファイ・テクノロジー)
- URL:
https://www.spotify.com/jp/ - 設立:2006年
- 本社:ストックホルム(スウェーデン)
- 創設者:
Daniel Ek(Co-Founder and CEO)
Martin Lorentzon(Co-Founder) - 事業内容:
音楽ストリーミングサービス(世界最大手) - ユーザー規模:
2億700万人(うち有料会員9600万人)
日本では2016年9月よりサービス提供開始。
現在、無料のSpotify Free(広告表示、機能制限あり)と有料のSpotify Premium(月額980円)の2種類の利用形態があり、いずれも4000万を超える楽曲を聞くことができる。
ポッドキャストを取り巻く環境
「ポッドキャスト」というメディアが今アツいんだよ、という話。
広告売上増加
ネット広告の業界団体Interactive Advertising Bureau(IAB)のデータによると、米国市場のポッドキャスト広告売上高が近年急速に増加している。
- 2016年 1億6900万ドル→2017年 3億1400万ドル(前年比186%)に成長
- 2020年までに6億5900万ドル(約720億円)に到達すると予想されている
リスナー数増加
Edison Researchによる2018年の調査によると、米国や英国などの英語圏ではポッドキャスト市場が急速に拡大している。
- 【認知度】12歳以上のアメリカ人で「ポッドキャスト」という言葉を知っていると回答した割合
22%(2006) → 64% (2018) - 【聴取経験】12歳以上のアメリカ人で「ポッドキャスト」これまでポッドキャストを聞いたことがある割合
11% (2006) →44% (2018)※
※1億2,400万人に相当, 前年比+1,200万人 - 【聴取習慣】12歳以上のアメリカ人で、月間でポッドキャストを聞いている割合
9% (2008) → 26% (2018)
Spotifyの目標
最後に上記の背景を踏まえてSpotifyの今回の買収の意図について。
下記は、Spotify CEOのDaniel Ek氏の発言(Forbs Japanより引用)
- オーディオコンテンツは娯楽や教育、人々を起業や社会活動に向かわせるための動機づけなど、様々な領域で活用されている。
- オーディオというフォーマットは進化を遂げている。ポッドキャストのビジネス規模はまだ比較的小さいが、スポティファイはそこに巨大な成長ポテンシャルを見出している。
- スポティファイでポッドキャストを聞く利用者は、音楽コンテンツのみを楽しむユーザーよりもサービスの利用時間が長い傾向がある。
- ラジオ業界のデータから考えて、将来的に全ユーザーの20%以上が音楽以外のコンテンツを楽しむようになる。オリジナル番組を投入すれば、さらに成長を加速させることが可能で、プラットフォームの差別化にもつながる。このような施策を通じ、スポティファイを世界最高のオーディオプラットフォームに育てていく。
Spotifyは年内に最大5億ドル(約550億円)の費用を投じて、さらにポッドキャスト関連企業を買収する計画だそう。
Spotifyアプリの検索UI(Android版)
いかに #ポッドキャスト に注力しようとしているかが分かる。
アツいのう🔥🔥#podcastnewsjp pic.twitter.com/Q2Rw1fVCDr— おじいちゃん@ポッドキャストレビュー (@podogchan) 2019年2月8日
GimletがなぜSpotifyの買収を受け入れたかはこちら☟のインタビューを(英語)。
参考:Full Q&A: Alex Blumberg and Matt Lieber explain why they sold Gimlet to Spotify | recode
まとめ:ポッドキャスト界はますます面白く
これでSpotifyはAppleに次いで第2位のポッドキャストプラットフォーマーに。
昨年・2018年6月にはGoogleからもAndoroid版の公式Podcastアプリがリリースされ、競争によってこれからポッドキャスターにとってもリスナーにとってもますますユーザビリティーは増してくるでしょう。
なにより「ポッドキャスト」というメディアが普及して、全体のパイが拡大することで、ポッドキャスターも恩恵を享受できるようになってほしい。
そしてもっともっとヤバい番組が出てくることに期待せずにはいられない。
終はり。