【New】月刊ポッドキャスト新聞7月号

【レビュー】『負の感情論』|東京ポッド許可局(第286回)

「東京ポッド許可局」レビュー

テンプレ情報

  • タイトル:『負の感情論』
  • 放送回:第286回
  • 放送日:2019-09-17 (24:00-25:00)
  • 配信日:2019-09-24
  • 長さ:22:01
  • 本日のキーワード:怒り/『カメラを止めるな!』/和田亮一/上田慎一郎監督/原案or原作/ごちそう/嫉妬/無名な俳優/もやもや/妬み・嫉み/怒りを原動力にする/怒りの熟成期間/フリと回収/阿久悠/松本隆/八代亜紀『舟唄』/秋元康/シャーデンフロイデ/自分だったらどうするのか/山里亮太/マイナスエネルギーをプラスに変える/手塚治虫/

内容

話題の映画『カメラを止めるな!』に纏わる騒動について。

プチ:負の感情、ネガティブな感情になったとき皆さんどうしてます?

タツオ:悔しいとか、嫉妬とか、悲しいとか?現実逃避しかないわ~

マキタ:お恥ずかし話ですが、怒りでしょ、負の感情って。途中から気づいたんですけど、筆が進むんですよね。

一同:あ~(納得)

10年前にブロガーだったマキタさん。筆が進むのは得てして怒っていたときだったという。

それに気がついたマキタさん、当時は自分の文章など誰にも見られていないと自覚しており、怒って書いた内容をそのまま発表するのは恥ずかしかったという。ただ、その怒りのエネルギーを逆に利用すればいいんだと気づいたとのこと。今も、発表しないまでも怒ったことを書き記しているらしい。

PKより、ネタフリ。先日の週刊誌「FLASH」に掲載された、『カメラを止めるな!』のパクリ問題記事について。

FLASH 2018年9月4日号

騒動の内容はこうだ。

劇団「PEACE」の主宰者・和田亮一氏が、映画『カメラを止めるな!』は、自身が脚本を制作した舞台『GHOST IN THE BOX!』が原作であると主張している。上田監督はインタビュー等で折に触れて、和田さんの作品に影響を受けて、実際に『カメラを止めるな!』のクレジットにも“原案”としてその名前を記載している。和田氏は、「構成は完全に自分の作品に感じた」と主張。

和田氏の『カメラを止めるな!』に関するツイート

和田亮一氏『カメラを止めるな!』鑑賞当時のツイート

ただ和田氏は、映画を観に行った7月の時点では上記のように映画を称賛するツイートをしていたと指摘するPK。

「あなただって最初は喜んでたじゃないか、この1ヶ月でどういう心境の変化なの、なんならあんなにヒットしたからお金目当てなの?」といった疑問がツッコミとしては成り立つというPK。他二人も同意。

ただ、PKはお金目当てとは思わない。PKが興味があるのは、あれが果たしてパクリなのか、原案か原作かといったことではなく、最初は喜んでいたのに1ヵ月経つと週刊誌で告発するに至ったその1ヵ月の感情の変化だという。

そのマイナスの感情の変化を想像するのは、PKら表現者たちにとってはごちそうだという。

マ:(笑)PKっぽいわぁ

タ:規模は違うけど、サブカル界隈では(最初は褒めていたのにあとで揉めるのは)よくあること。

タ:ゼロから1を生み出す人は、1から100にする人を軽視しがち。

タツオ的には0→1と1→100は等価値と思っているが、(0→1とした)和田さんは(1→100とした映画がこんなにもヒットして)悔しかったのかもしれないという。

PKは和田さんの感情の変化を考察。最初は自分の原案が陽の目をみて嬉しかったはずだが、予想を超えたヒットに、頭では分かっていても嫉妬なんかの感情が芽生える。毎日・毎日ニュースを目にして「ギぃー」ってなる。周りも「あれはあなたの作品ですよ」と焚きつける。

仮に当事者と関係がなくても、無名で実力がある人は、こういう(無名からヒットをしたという)ニュースをみて「ギぃー」ってなる人は多いだろうという。

PKとしては、このような誰もが抱えうる嫉妬やモヤッとした負の感情をどうプラスに変えていくかが問題だという。

マキタさんとしては、(負の感情である)怒りは原動力としては途中までは役立つが、怒りをそのまま出すにはよほどユーモラスに見えるような工夫が必要だという。

プ:あの映画を観て改めて思ったけど、日本人ってフリと回収が大好きだね

タ:大好きだね、あれ何なんすかね?カタルシスがあるんですかね?

マ:いや、若年層はフリと回収大好きですよ。そういうロジックにものすごくピュアに反応する。

マキタさんは実はこの映画を三度観に行ったという。一度目は自分の目で見て確かめたい。二度目は本当かどうか確かめたい(一度目はストーリーを追うので精一杯になる)。三度目は娘と行きたい、これが本当の楽しみだった。

娘は最初30分は怖がっていたが、その後は抱腹絶倒だったという。マキタさんはそれを見て泣いていた。若い子はああいう回収はすごく好きだという。

マキタさんは、70年代の歌謡界で活躍した阿久悠と、後に出てきた松本隆を例にあげる。

当時阿久悠がやったことは確かに革新的だったが、後に現れた質・量ともに兼ね備えた松本隆などにより居場所がなくなった感がある。その後、阿久悠は八代亜紀に『舟唄』を提供し、ポップスから一転演歌で返り咲く。『舟唄』を出すまでの阿久悠がどれだけの葛藤を抱え、悔しい思いをしていたのかを想像するのが好きと語るマキタさん。

さらに、松本隆のあとは秋元康が出現してくる。結局阿久悠は松本や秋元などにずっと悔しい思いをしながらも、ちょいちょい名作を残している。よって、これだけの(カメラを止めるなの原案となるような)フォーマットを考えらるような力があるなら和田氏にも期待したいと語るマキタさん。

タ:俺、悔しい思いをしてきた人の文章集とか読みたい

タツオは悲しいときも、自分より悲しい目にあっている人をみるとその悲しさが和らぐという。

PKは自分だったらどうするかをずっと考えていたという。そんな時に新聞の書評欄でマイナスの感情をプラスに昇華させて成功した人を発見したという。南海キャンディーズの山ちゃんだ。彼は出版書籍の著者インタビューのなかで、「執念や嫉妬も人生の肥やし」と語っている。そういう人を見習いたいというPK。

嫉妬するのは才能だと語るタツオ。嫉妬する対象は、同業だからだ。何に嫉妬できるかで、その人の戦うフィールドに気づける。関係ないことには嫉妬しないという。やりたいことがないと言っている大学生は、何に嫉妬するかが参考になるという。

手塚治虫はずっと若手に嫉妬しまくっていたという。

PKより締めの言葉。

プ:否定でも、擁護でも、茶化しでもなく、和田さんのこの1ヵ月を想像することは、僕らにとってごちそうだと思ってます。ごちそう様でした。

感想

PKによる問題提起だったが、タツオの考察がよかった回じゃ。

誰しもが抱えうる妬み・嫉みという負の感情だが、その感情を如何に昇華できるかは表現者に限らずあらゆる人間に付きまとう問題であろう。

そして、嫉妬できるのは才能、嫉妬をきっかけに自分がこだわれる分野に気づけるというタツオの指摘は素晴らしい。

手塚治虫のようにその嫉妬を表に出すにせよ、出さざるにせよ、一分野で大成した人物というのは須らく嫉妬深くそれらを上手く原動力にできた人なのかもしれんのぅ。

終はり。

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